こんにちは。
カラオケボーカルトレーナーのYUKINOです。
梅雨入りしましたね。気温の上がり下がりが激しいので皆さん体調には気を付けてくださいね。
さて、今回は声帯と身体について書いていきたいのですが、歌うときの声帯と身体がどのようになっているのかっていまいちよくわからないですよね。
歌を習う人はたくさんいますが、自分の歌がどのように聞こえるのか?今どのような状態なのか?果たしてうまくなっているのか?
これらが一番わかりにくいのが歌です。
例えば、料理を習っているとしましょう。材料が目に見えて、切ったり炒めたり煮たり、調味料もちゃんと目で確認できますよね。
今、どのようなことを行っているのか目で見ることができ、そして味は舌で確認できます。
だからこそ、上達したと感じることができます。
スポーツもそうです。野球のバッティングが苦手だったとしても、毎日球を打つことで、どの角度でどんな力量で、どんなタイミングで・・・など目や感覚として確認できて、上達も打ったボールを見ればわかりますよね。
ちょっとしか飛ばなかったのに、飛ぶようになったとか。
しかし、歌は違います。
声を出すことは簡単ですし、何なら生まれて初めてすることが声を発することです。
歌うというのは、声を出すこと、音に合わせること、呼吸をすること、リズムをとること、歌詞を歌うことなど、いろいろなことを同時に行います。
声を出すことや呼吸をすることは、誰でもできますし、簡単です。
でも、歌うとなるとただ声を出すだけ、ただ呼吸をするだけでは喉にとって良くないことが多いのです。
例えば、プロのスポーツ選手は普段から走ったり、筋肉トレーニングをしているのは、身体を使い鍛えることで、試合の時に最高のプレーをするためです。
これが、ただそのようなトレーニングなしに、プレーをしたら・・・身体のどこかが故障する要因の一つになります。歌の場合はそれが喉なんです。
だからこそ、ボイストレーニングが存在するのですが、歌うことは冒頭のとおり、確認しにくく、目で見えない声帯を使います。そして、呼吸に関しても、身体の中のことで、いまいち確認することが難しいのです。
そこで、今回はそんなわかりにくい声帯と身体が歌うとどうなるのかをお伝えしていこうと思います。
歌うときの声帯の仕組み
声帯は、二枚の薄い襞のような粘膜でできていて、声帯そのものは動きません。
声帯を動かすのは声帯周辺の筋肉です。
これらを咽頭筋といいます。
声帯周りには、咽頭筋という様々な筋肉が集結しています。
咽頭筋には、内咽頭筋と外咽頭筋があります。
内咽頭筋の役割
・声帯を閉じる
・声帯を開く
・声帯を伸ばす
・声帯を短くして弛ませる
・声帯を硬くする
外咽頭筋の役割
・咽頭を上げる、下げる
・舌骨を上げる、下げる
・咽頭や舌骨を引っ込める筋肉
一言でいうと、内咽頭筋が声帯を動かすための筋肉、外咽頭筋が咽頭や舌骨を動かす筋肉です。内側の筋肉と外側の筋肉というイメージです。
発声初心者の方は、内咽頭筋の働きが弱く、外側の筋肉ばかりを使ってしまうことが多いのです。
喉にすごい力を入れて歌う人の声帯は、咽頭が上がった状態となり、つまり喉仏が上がり、感覚的に言えば喉を締めている状態となるのです。
正しい発声の状態は、内咽頭筋の声帯を閉じる筋肉と、声帯を伸ばす筋肉がバランスよく適度に働くことです。
声帯が閉じることで、声が出ます。そして、伸ばすことで音が高くなります。
音の上がったり下がったりをコントロールするのが、声帯を伸ばしたり縮めたりする筋肉なのです。
声帯を閉じる筋肉のことを、甲状披裂筋といいます。甲状披裂筋は閉鎖筋と呼ばれています。
この閉鎖筋には、そのほかに外側輪状披裂筋、横披裂筋、斜披裂筋があります。
声帯の長さを調節するのが、声帯筋です。
高音発声に欠かせないのが、声帯を伸ばす作用のある輪状甲状筋です。
これらが、声を出すときに必要な筋肉であり、声を出すとこれらの筋肉が働き、声帯を閉じて、伸ばしたり縮んだりして、音となり声が出るのです。
ピアノでいうなら、ピアノの調律を声帯で行っているようなものです。
また、声帯を開く筋肉が、後輪状披裂筋です。
何だか、複雑な筋肉名ばかりで覚えにくいですよね。
簡単に言うと、閉鎖筋(声帯を閉じる筋肉)と輪状甲状筋(伸ばす筋肉)が特に大事なんです。
外咽頭筋に関しては、咽頭を上に引き上げたり、咽頭を下に引っ張る筋肉があります。
筋肉名は胸骨甲状筋や、甲状舌骨筋のことを指します。
ほかにも外咽頭筋はありますが、今回は主に内咽頭筋について書いていますので、外咽頭筋のその他の名称は省略します。
外咽頭筋も重要なんですが、鍛えすぎると過度の力が発声の邪魔をしてしまうことがあるので、どちらかというと、内咽頭筋の方を鍛えることがポイントです。
歌うときに起こりやすい喉の動きと身体の状態とは?
喉の外側で力が入ると、喉仏が上がる、喉に筋が立つなど見た目で確認できますが、そのような状態の時は、喉で以下のようなことが起きています。
咽頭が上がる
外咽頭筋の力が強すぎて、咽頭が上がる状態です。舌も力が入り、発声の邪魔をしてしまいます。
そのため、声がつぶされたような絞められたような声となり、蓋をされて声が響く場所がなくなり細い声となります。(この状態をハイラリンクスと呼びます)
なぜ、外側ばかりに力が入るのか?
内咽頭筋の働きが弱いことで、代わりに外側に力が入ってしまうことが原因です。
つまり、喉に力が入ってしまう人は、閉鎖筋や輪状甲状筋のトレーニングをすることで声帯を柔軟に動かすことができて、外側の力を使わなくても声が出るようになるのです。
よく、喉は開いて!といいますが、それは、声帯は閉じたうえで喉の外側の力は抜いて出しましょう!ということです。
とはいっても、なかなかイメージしづらい上に実感しにくく難しいんです。
声帯の筋肉が目で見えて、今伸びてるなぁとか外側が力んでいるなとか客観的に判断できないからです。
どうすればいいのか?
声のことを判断できるボイストレーナーのレッスンを受けるのが一番です。
それでは、声帯だけではなく、身体はどうなっているのか見ていきましょう。
力んで声を出しているときの身体の外見的特徴
・肩が上がって固まっている
・顎を前に突き出している
まず、肩から首のかけて上半身に力が入ります。
そして、顎が出て、首が引っ張られている状態です。
このような状態の時、下半身には力が入らずに、身体を押されるとふらふら倒れてしまいます。
正しい発声には、お腹より下が重要です。
よく、支えが大事だと言いますが、身体の芯(軸)がしっかりしていることを指します。
これらのことを踏まえて、力みやすい人は閉鎖筋と輪状甲状筋を鍛えるトレーニングと、同時に身体の軸を意識して、下半身はしっかり、上半身は脱力で声を出すようにすると良いでしょう。
とはいえ、これらのことは、一人で行うことは意外とよくわからずに間違った発声のまま覚えてしまうこともあるので、できるならトレーナーの指導の下行うことがおすすめです。
声帯と身体、どちらも歌には重要です。楽に楽しく歌えるよう、練習しましょう!
Soulfulカラオケ教室では、ボイストレーニングも行っています。
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